卒業生インタビュー 吉井歳晴さん
吉井歳晴さん
1級建築士
創造的な教育を受けたOCT時代
電気技師である父の影響で図面を書くことに興味を
建築の世界へ入ったきっかけは、父親の影響でしょうか。電気技師だった父がある日、「クレーンの仕様書を写してみろ」と、当時小学校5年生だった僕に言うんです。なんとか写してみせたら、父はその仕様書に会社のハンコをポンと押してそのまま仕事で使ってくれたんです。驚きでしたね。こういう世界があるんだって。もともとプラモデルを作ったり絵を描いたりすることが好きだったので、図面を書くことは面白いと思いました。そして工業高校への進学は、迷わず図面を書くことの多い建築科へ。その時出会った先生方がとても印象に残っています。授業だけでなく、先生のコンペ出品の手伝いをさせてもらったり下宿に泊って教わったり一緒に建築物を観賞する旅に出たりと、建築の世界にますます魅了されるきっかけを作ってくれました。
OCTの課題「自分の空間」が一生のテーマに
高校で建築の技術を学んで自信満々だった僕が見事に打撃を食らわされたのが、次に進学した大阪工業技術専門学校だったんです。「自分の空間を創りなさい」。今まで技術的な教育ばかり受けてきた僕に、この一言は衝撃的でした。例えば「セカンドハウス」という課題では、「どこにでもあるようなものはだめだ。抽象的でもいいから、自分の中の原体験のようなものを空間にしなさい」と何度も提出した作品を突き返されました。その作業は、自分って何だろうと自分自身を振り返ることなんですね。だから、とてもしんどい。でも、自分の空間を突き詰めなければ人に提供できる空間は創れないと気付きました。「自分の空間」とは一生掲げていくテーマのひとつでもあるんですよ。OCTでは、とても創造的な教育をしてもらったわけです。コンペへの出品にスライド会、先生同伴の建築観賞の旅行、設計事務所のオープンデスクへの参加・・・。OCTでの2年間は楽しくて楽しくてしょうがなかったです。
「家族関係」を理念にした住宅設計と文化活動で活躍
OCT卒業後、建築家の設計事務所や企業で働き31歳で独立しました。そして35歳頃から社会学に興味を持ち始め、「家族関係」を建築の理念とした住宅を設計しています。まず、お客さんの家族間の関係や子供の教育、趣味など生活のことをきめ細かにヒヤリング。そして関係図を創ってからプランニングをスタート。そうすることで、お客さんが満足できる「自分の空間」を提案できると信じています。今、この僕の理念を活かしたプランニングをソフト化する話が進んでいるんです。ソフトを通して、僕のプランニングが地域開発やより多くの人々の住宅に役立つことは嬉しいですね。また、設計のかたわらには執筆活動や講演、学生の指導なども行っています。広く建築のことを知ってほしいという思いから、そういった文化活動にも励んでいるわけです。建築には、図面を描く、現場でのやりとり、全体のプロデュースなどさまざまな作業がありますが、学生の人たちにはどれか一つでも興味を持ってほしい。「好きこそ物の上手なれ」です。僕の建てた家や文化活動を通して、学生が好きなことを見つけるための手伝いをしていきたいです。

