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教室を飛び出して

建築学科、インテリアデザイン学科
2019.04.23
プロジェクトレポート04

〜設計コンクール編〜

左から
島田麻鈴さん[建築学科]
助川仁美さん[インテリアデザイン学科]
柿花楓恋さん[インテリアデザイン学科]
大西崇之先生[インテリアデザイン学科、建築学科]

建築学科設計専攻、インテリアデザイン学科では、毎年授業の一環として、「あすなろ夢建築」大阪府公共建築設計コンクールに学生たちの作品を出品しています。「あすなろ夢建築」は、大阪府内の専修学校生と高校生を対象にした、1991年から続く設計コンクール。28回目の開催となった今年は「多様なライフスタイルが実現できる家」をテーマに、大阪府住宅供給公社が管理する香里三井B団地の一室のリノベーションプランを競い合いました。全273点の応募作品のなかから、グランプリと準グランプリに輝いた作品が、実際のリノベーションプランとして採用されます。OCTからは3名の学生が見事入賞を果たし、3月27日に大阪・咲洲庁舎で受賞プランのプレゼンテーションを行いました。その様子をレポートします。

▲プレゼンテーション前には表彰式も行われました

 

奨励賞受賞 島田麻鈴さん(建築学科設計専攻1年生)
『趣味を見る団地生活』

島田さんは、趣味に囲まれて暮らせる住居をテーマに、見せる収納棚を備えつけた設計プランを提案しました。西側は家族が集うリビング、東側にはプライベートな個室を配置。東西の居室をつなぐ日当たりの良い廊下には、ソファを置き、趣味を楽しむことはもちろん、家族や友人との団らんも楽しめる、第二のリビングとなる空間をつくりました。東西の空間それぞれにアプローチできる2つの玄関を設けることで、生活スペースを気にせずに友人を招くことができる配慮も。

▲プレゼンの様子

子どもを見守りながら団らんを楽しめる趣味スペースや、和室で遊ぶ子どもの様子がわかるキッチンなど、子育て世代に嬉しいプランが評価されました。一方、会場の審査員からは、趣味スペースと仕切るために、寝室の床の高さを大きく上げたことで、天井高が気になるという指摘も。課題も見えたプレゼンになりました。

優秀作品賞 柿花楓恋さん(インテリアデザイン学科2年生)
『Simple is best』

柿花さんは、個人の孤立が進む現代のライフスタイルに焦点を当て、家族間のコミュニケーションを促進させるため、壁を大胆に取り払った住居を提案しました。壁をつくり替えるコストが抑えられる上、広々とした空間をカーテンで仕切って使うことで、ライフステージの変化にも対応できます。さらに、子どもが壁に登って遊べる仕組みをつくるなど、遊び心も大切にしています。

▲1作品ごとに審査員2名による講評が行われます

「よく思いついたね!」と審査員を唸らせたこのプラン。シンプルだからこそ流動的な使い方ができ、多様なライフスタイルを実現できそうだとのコメントが飛び出しました。木材のコストや配管の位置など、より具体的な問題についての指摘はありましたが、洗練されたプランとして高く評価されました。

優秀作品賞 助川仁美さん(インテリアデザイン学科2年生)
『なだらかに繋がる暮らし』

多様なライフスタイルを実現するには、居住者に使い方を委ねることも必要だと考えた助川さん。壁を必要最小限に留め、カーテンで空間を仕切ることで、心地よい余白を生み出しました。また動線に曲線を取り入れたことで、人の自然な動きに対応する設計に仕上がっています。壁面に音源、ウォークインクローゼットを配置し、ターゲットである若い世代の生活を考えた設計になりました。

▲先生やクラスメイトも駆けつけ、プレゼンを見守ります

審査では、わかりやすく、雰囲気が伝わるコンセプトボードが目を引いたそう。まるで店舗のような空気感や、住居としての独創性、住み手の気持ちを考え、細かい使い勝手まで検討している点が評価されました。審査員からは「つくる側も楽しめるプラン。もし実現すれば、宣伝の効果は抜群にありそうですね」とのコメントが。

プレゼンを終えた学生に、
作品についてお話を聞きました

島田:当初は、工事費を考慮して、改装前の壁をそのまま利用するプランを考えていました。しかし各部屋が孤立するので「こんな家には住みたくない!」と感じて……。友人に相談するなかで、やはり開放的で居心地の良い部屋が必要だと確信し、提出の2週間前にプランを変更しました。
コンクールへの出品は今回がはじめてです。学校の課題と比べると、より実際の現場に近く、たくさんの制約があるので難しいですね。特に、水場(洗濯機、お風呂、キッチン)を1ヶ所にまとめてはいけないという制限には驚き、悩まされました。住宅はさまざまな条件をクリアして成り立っているのだと再認識できました。

▲会場前にはコンセプトボードと模型が展示されました

柿花:私の家は4人家族で、全員が女性。何も隠すことがないので、ほとんどプライベートスペースは必要なく、リビング、ダイニング、キッチンがあれば十分だなと思っていたんです。設計にあたっては、自身の経験を盛り込み、シンプルな構造を目指しました。
同じく優秀作品賞を受賞した助川さんと一緒に作業することが多いのですが、先に素敵なプランを打ち出されたときには、正直かなり焦りましたね(笑)。おかげでエンジンがかかり、さらにプランを詰めることができたと思います。
プレゼンには、最近授業で学んだBIM(※)を用いた3Dモデルを使用しました。インパクトのあるビジュアルで伝えることができたと感じています。

※BIM=ビルディングインフォメーションモデリングの略。3Dデータに意匠や設備、構造など建物の管理情報を集約させて、情報を一括して管理できるシステムのこと。誰にでも、ビジュアルでわかりやすく建物の情報を伝えることができる。

▲3Dモデルを用いたプレゼンの様子

助川:「多様なライフスタイル」を考えるにあたり、授業でお世話になっている、谷口恋先生の自宅を参考にしました。先生の家は、友人や学生たちが頻繁に集う、コミュニティが生まれる空間です。出品作品では、家の西側を人が集う場所と位置づけ、地域の人が集まれる家にしました。特徴となる東側の動線は、人の動きに合わせてつくったもの。通常、つくりやすさ、使いやすさを考慮すると、四角くなっていくのが建築・インテリアですが、人にとって垂直・平行な動きは自然ではありません。だから、家に人が合わせるのではなく、人に家が合わせていく方法として、緩やかな曲線を描く空間を提案しました。設計時は、フリーハンドで何度も図面を引き直しました。実は先生から、「住み手に任せすぎていて、あまりに抽象的でふわっとしている」と言われたこともあったのですが、ある程度想像の余地を残し、居心地や使い方を住み手が自由に決めることこそが、多様なライフスタイルの創出につながっていくと感じています。

▲受賞者による短いスピーチも行われました

 

担当教員の大西先生に、
毎年コンクールに挑戦する理由を伺いました

学生たちはいつも授業のなかで制作し、評価されますが、それだけでは考え方や評価基準に偏りが出てしまうもの。コンクールへの出品は、自らの作品を学外に持ち出し、社会のものさしで測ることで、さらに視野を広げることが目的です。
また今年は、建築学科から1名、インテリアデザイン学科から2名が受賞しました。「インテリア学科なのに、建築設計コンクール?」と不思議に思うかもしれませんが、インテリアデザインにおいても、建築空間との関係を広い視点で学ぶことも大切なのです。
意匠や設計は「なんとなく」でもかたちにすることができます。しかし、そこに社会とどう関わり、どう反映させたいかというメッセージ性がなければ、社会で生かすことはできません。学生たちにはこの経験を生かして、問題の本質を見抜き、広い視野をもって設計できる力を身につけてほしいですね。

Photo: Tatsuki Katayama (webjin Inc.)